事例紹介

廃業・町工場跡地

クリーニング店の廃業

最適な対策を実施し、適正価格で土地売却へ

調査契機

クリーニング店を廃業する際、「廃業届を提出したら、義務調査の対象だと指摘された」というケースがよくあります。

昔はドライクリーニングの溶剤として、特定有害物質のテトラクロロエチレンを使用することが多くありました。特定有害物質を取り扱う場合は、「指定作業場※1」や「特定施設※2」として自治体に届け出る必要があり、また、その工場・事業所の使用を廃止する際は、土壌汚染の有無を調査することが義務づけられています。

テトラクロロエチレンは、地下に浸透しやすく、汚染深度が深くなる傾向がある物質です。廃業後、土地の売却を検討している場合は、土壌汚染によって資産価値が減少するリスクも考えられます。
このため、特定有害物質を使用していたかどうか不明であっても、リスク回避のために、クリーニング店跡地を売却する際は自主的に調査することも多いのが現状です。

※1/都民の健康と安全を確保する環境に関する条例「環境確保条例」に基づく。
※2/「水質汚濁防止法」および「下水道法」に基づく。

調査内容

クリーニング店で対象となる主な有害物質と用途
テトラクロロエチレン ドライクリーニング溶剤
トリクロロエチレン 羊毛、皮革等の脱脂洗浄

※ドライクリーニングには、石油系溶剤のターペンが使われることもありますが、ターペンは特定有害物質ではありません。

対象物質はいずれも、気体になりやすい揮発性の「第一種特定有害物質」なので、まず、表層調査で「土壌ガスの採取分析」を行います。これは、地表から80cm~1m付近のガスを採取して分析するという調査です。

ここで汚染が確認された場合は、深度10mまでボーリング調査を行い、土壌・地下水を採取して汚染状況を詳しく調べます。
調査にかかる期間は、約3カ月(資料調査1カ月、表層調査1カ月、深度調査1カ月)です。

対策工事内容

調査の結果で多いのは、テトラクロロエチレン、1,2-ジクロロエチレン(分解生成物)、トリクロロエチレンが検出され、汚染の深度も深いというケースです。

汚染が確認された際は、条例に即した内容で対策工事を行うことになります。

様々な工法がある中で、「費用負担は出来る限り抑えたい」「土壌汚染が存在するままで売却をしたい」と希望される場合は、「地下水揚水による原位置浄化」をご提案しています。
これは、汚染土壌を掘削することなく、井戸を設置して地下水に溶け込んだ有害物質を地下水とともに汲み上げて回収するというもの。
先にあげたご希望と、汚染された地下水の拡大を防止しなければならないという対策義務を同時に満たす工法です。

数カ月継続して対策を行った後、浄化を待たず売却される事例もあります。汚染が残っていても健康被害が発生しない状態になっていれば、法的に問題はありません。

このように最適な対策を実施することで、「適正な価格での売買成立」が可能になります。

エコアティアでは、クリーニング店をはじめ指定作業場・特定施設の調査や対策についてのコンサルティングを行っています。お困りの方はぜひご相談ください。

  • 一覧に戻る